[2004.09.06]
  嘘のつき方入門


 ▼SETI has not found ET: official(The Register)【英語】
  http://www.theregister.co.uk/2004/09/02/alien_no_no/


 世界をだますことなんて簡単さ。なんだったら僕が,だましてあげるよ。僕以外は,誰も気付かないようにネ。

quote:SETIはETをみつけてなんかいない。ニュー・サイエンティスト・コムの記事によると面白い信号を電波望遠鏡がキャッチし,SETI@homeプロジェクトが非常に興味深いと述べたと報告されていた。だがSETIの主任研究員は,わたしたちはそれを観察し続けているが,大きく驚いてはいないと述べている。また研究員はBBCとのインタビューで,異星人との接触だという認識は「誇大広告と雑音」であるとの考えをしめした。わたしたちと通信をするような異星人はまったく発見されておらず,残念ながらわたしたちは再びリラックスして過ごせるだろう。

 わたしもどこかのブログのリンクをたどって,この信号受信のニュースを報じているCNET Japanの記事を読んでいた。だがBBCの記事や↑のThe Registerの記事を読むと,報道は真っ赤な嘘,興奮し過ぎて生じた誤報だと認識できる(もちろんその反発記事を100%信じればだが)。このニュースを取り上げている個人サイトのブログもいくつかみた。「異星人からの通信の可能性も」なんてタイトルがついていれば,そりゃ興味を惹かれてもおかしくない。

 が,何度も云っていることだが,テキストには必ず意志がある。新聞でも雑誌でも,中立的な立場で公平平等に報じていると云っていても,そこにはなんらかの意図がある。また,一部のニュースだけを報じることで,それだけを広く知らしめようとする意図もある。ウェブにはいっぱい嘘があるのはわかっているが,一部のメディアを無意識に信じてしまう人は多い。大手新聞が嘘をつくはずがないと思っている人もいる。だがそんなことはない。グーグル・ニュースで取り上げられているメディアでも,興味を惹くテキトーなタイトルを付け,本文中に巧妙に嘘を織り交ぜているのは普通のことだ。ウェブの伝達能力の早さは,余計に嘘の拡散を手伝う。今回のこのニュースで,もう一度それをきちんと認識しなくてはと思った。

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